
パリのレストランで皿を運んでいた青年が、数年後にバリ島のハンモックに揺られながら月収$125,000を超える。
嘘みたいな話だ。でもMarc Lou(マーク・ルー)の人生は、実際にそうなった。
彼が売っているのはSaaSではない。SaaSを24時間で立ち上げるための「道具」だ。
ゴールドラッシュで一番儲けたのは、金を掘った人じゃなくてシャベルを売った人だった——その構造を、2020年代のSaaS市場で完全に再現した男の話をしよう。
パリのウェイターが「作る側」になるまで
Marc Louはフランス出身。大学を出た後、パリのレストランでウェイターとして働いていた。
プログラミングは独学。夜な夜なコードを書いては、小さなプロダクトを作っては壊す日々。当時の収入はほぼゼロ。本人いわく「時給10ドル以下だった」。
転機は最悪の形でやってきた。アメリカの起業家タイ・ロペスの会社で働くチャンスを掴んだものの、クビになった。そこからうつ状態に陥る。何をやっても上手くいかない。作ったプロダクトは誰にも使われない。貯金はどんどん減っていく。
普通ならここで諦める。

でもMarcは別の選択をした。バリ島に飛んだ。
生活費を極限まで下げて、ハンモックとラップトップだけで開発に没頭する。インスピレーションの元になったのは、同じくバリ島を拠点にする伝説のインディーハッカー、Pieter Levels(ピーター・レベルズ)。「12ヶ月で12個のスタートアップを作る」というチャレンジに触発され、Marcも次々とプロダクトを世に出し始めた。
25個以上のスタートアップを作った。 そのうち12個が収益化。残り13個は失敗。打率は5割以下。
でも、たった1つが全てを変えた。